このレビューはネタバレを含みます
ああ、愛されているんだなあと思った。
子どもを愛する気持ちは人それぞれだ。
窓拭きの仕事、子どもを産んでロシアに帰った妻、里親に預けられた過去、それに加えて余命数ヶ月。頼れる身内は老齢の母だけだ。
生きているうちにしてあげられることは、次の家族を探してあげること。
子どもは唯一の家族を失い、父親は子どもの成長を見届けることはできない。不条理ではあるし、悲劇ではあるが、現実的な問題だ。迫りくる現実に、父親は次々に家々を回り、4歳の息子の家族を探し回る。
ある種、里親のカタログみたいにいろんな夫婦の形が現れる。およそ親になる覚悟なんてない里親たちも多々現れる。
病気が進行し、仕事も続けられなくなったとき、父親は里親を選択する。
子どもができない身体のシングルの女性だ。
父親は写真や手紙を1つのケースに入れて息子に手渡す。いつか運転免許を取った日に見る手紙を入れてある。束になった手紙だ。
父親は死を説明する。
目には見えないが、そばにいるよと。
父親の言葉はきっと消えてしまうだろうが、いつか、父親のしてくれた全てのことを理解する日が来るだろう。