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川っぺりムコリッタのhuaのレビュー・感想・評価

川っぺりムコリッタ(2021年製作の映画)
3.6
死に寄り添い、小さな幸せを感じながら生きる大切さを描いた作品だと思った。

ムコリッタ(牟呼栗多)とは、仏教における時間の単位。1/30日=48分という説明が冒頭にあるが、ささやかな幸せという意味もある。
なんと素敵なタイトルなんだろう。

何気ない日常の話である。
主人公は人と関わりを持たずに生きていきたいと思っているのに、周りの住人が放っておかない、というか、ムロツヨシさん演じる隣の島田が図々しいのなんのって。
普通なら拒絶しそうなものだが、主人公の山田はだんだんと受け入れていく。
人との関わりがささやかな日常の幸せになっていく。

イカの塩辛工場で働く主人公というのもなかなかレアだが、『死』だけでなく『骨』がやたら出てくるというのも珍しい。
亡くなった人を弔う形は様々で、残された人が納得できればいいのだと思った。

そして何と言っても、食べ物が何でこんなにも美味しそうなのだろう。
荻上直子監督の『かもめ食堂』や『めがね』、他の映画ドラマでも活躍されているフードスタイリストの飯島奈美さん。
本作では凝った料理は出てこないけど、ただただ白いご飯が美味しそう🍚
そしてもぎたてのきゅうり🥒
すき焼きもたまらなかった!
これまた図々しいにも程があるが、一人で食べるよりずっと幸せな時間に思えた。

さらに音が印象的だった。
草や土を踏む足音、きゅうりを噛む音、雨の音、虫の声…

鍵盤ハーモニカとウクレレが奏でる音楽も何とも心地良く心がほぐれていく。
豪華な俳優さんたちを、えっ!?これだけ?という使い方をするのも贅沢。
しかし、個人的に不快に思うシーンがいくつかあったので、ポイント低め。
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