おっとっと

アフター・ラヴのおっとっとのレビュー・感想・評価

アフター・ラヴ(2020年製作の映画)
-
プレゼンターと監督のQA付きで鑑賞。

突然訪れた夫の死。彼が遺したものから辿る、彼の大きな秘密…

監督の言葉が何より的を得ていたので、引用すると
「2人の女性と1人の子供が、赤の他人と接して、どのような過程を経て己の腹の内を明かすか、というのを描いている」。

プレゼンターが「Brexitの影響はあったか」とか聞くのはまあ良しとして、本作を「Muslim British cinema」と表現したときに、監督が「そう思ってるの??」って聞き返して、「いや、言葉の綾よ、サンダンスとかでさ、そういう評が出てじゃない?ごにょごにょ…」と言葉を濁し、それにアイロニックに「interesting」と監督が答えたところ。

監督は「ムスリムといえば、爆弾を作っているか、美しい建築に囲まれて住んでいる、みたいな両極端なイメージしか持たれてない。私は“普通の”ムスリム女性の姿を写したかった。お茶も作るし、カレーも作る。そういった一面が非常に大事だと思っている」

nationalityとアイデンティティのギャップを片時も忘れたことはないであろうだろうが、それはあくまで自分を構成する一面であって、それが映画を作ろうと駆り立てる意欲の全てではない。そんな当たり前のことをオブラートに包みながら応える、30代半ばの若手監督の思慮深さに胸打たれました。
おっとっと

おっとっと