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皮膚を売った男のbabyのネタバレレビュー・内容・結末

皮膚を売った男(2020年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

一昨年国際映画祭にて
観たかったけど観れなかった作品の
ひとつなので、念願かなって
まずは嬉しい。

、、、。
でもやっぱり自分の世界に対する
知識不足が、まずは直にきます、、、。
難民のことや、国のこと、
自由の制限など、あまり知らないので
本当にまっさらな状態でのレビューに
なってしまうのが少し悔しい。

今の私の率直な感想
自由の中にも様々な価値観が存在して
いて、捉え方や身を置く環境によっても
自由って違うから、本当の自由って
存在しないのかも。と感じた。

サムにとって大切な目の前のことは
本当に想いを寄せている恋人と
一緒になること。
ただ、その一心でとった自由な行動が
自らを自由から遠退けた。
これってそもそも、不正逮捕で
引き裂かれたから、自ら身を置いている
環境そのものが、不利な世界だった。
そうなんだけど、本当に恋人と
結婚したかったら少しの自由を
手にする為にもっととれた行動が
あったかもしれない。
でも、そんなこと言えない。
そもそもの環境が不条理だから。
この時点で"自由"という言葉の
違和感を覚える。

そして、ジェフリー。
ジェフリーからしたら、都合のいい
キャンバスのサム。
それってめちゃくちゃ怖いし、
アートという、自由を正義とする
世界の中に取り憑かれた、まさしく
悪魔のような存在。
ただ、ジェフリーは芸術家として
生きている以上、作品に意味を持たせ
タブーを破る自由さが求められるのも
事実だし、芸術家として自由を
提示しなければいけないことも
あるだろう。サム本人が
求めた自由を提供したのも事実だし、
サム本人が自ら選んだ自由への道が
ジェフリーだった。

結果として本人が選んだ自由であれば
いいはずが、そうではない。
その他のことや、影響、色んなことが
絡まってくるから、本人すら自由を
選んでも自由にはなれない。
このもどかしさと一生結論の出ない
題が、作品を鑑賞している間ひたすら
私に絡まってきた。

最後の結末は正直予想外でした。
私の予想は、サムが選んだ自由が
もたらす搾取と不条理さの残酷な結末。
でも、そうでなかった。
世界への投げかけはあくまでも提示。
ただ、それをノンフィクションと
信じ込ませる必要性は芸術家の視点から
して必要だった。
サムの作品としての道を選んだ
その道に対する犠牲と、苦しさと
結果としての自由。
目の前に映る悲劇を、真実と
信じた人たちへの嘲笑い方と
その裏に隠れる必要性。

色んなことをグルグルと考えた作品
だった。私からしたら結論のないテーマを
一度結論出そうと一生懸命考える
きっかけになったこの作品は
良し悪しなしで、意味のある作品だと
強く感じた。
この作品を見て、不愉快と思う人も
すごいと思う人ももちろんいると思う。
ただ、この題を話し合える映画で
あるからこそ、この作品の意味を
大いに感じた。

また色んなことを知ったら
感想が変わるのかも。
ただ、今はこの思いが精一杯の言葉
baby

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