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兎たちの暴走のtwitwilightsのネタバレレビュー・内容・結末

兎たちの暴走(2020年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

“あなたのためなら何だってする”
実在事件が着想とのことだが、母娘に迫るあまりに不幸な現実が辛い。

そんな悲哀と相反するかのような映像美にも心が動く。
逆光の中、頼りなげに佇む娘シュイ・チンの美しさ。
黄色を纏い、黄色に乗り込む母チュー・ティン。

住民自ら"棄てられた町"と謳う、四川省工業地帯のロケーション。
蛇の如くうねった河川に沿い立つ工場。咽ぶ様に吹き上る白煙。
出口の描写がない「トンネル」シーンは、親子の未来を暗示しているかのようだった。(岩盤トンネル!)
降り止まぬ雨。
それら舞台の色彩と画角にも深く胸を抉られた。
(監督が敬愛するフィンチャーやポン・ジュノみを確かに感じた)

過度にブーストされた貨物列車をはじめとする環境音。
(監督フェイバリット「トレイン・スポッティング」のオマージュだ)

ここFilmarksやX(twitter)が無い時代だとおそらく見逃していたであろう傑作。
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