真田ピロシキ

バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティの真田ピロシキのレビュー・感想・評価

3.3
アンダーソンとジョボヴィッチのやつを否定してるので原作に忠実を目指したという本作は無条件に肯定しそうなものだけど、原作再現度のことばかりを言ってるのが気になって、ゲームに求めてるものと映画のそれは違うんだけどなあと我ながらややこしい思いを抱いてあまり期待せず見に行った。Tウィルスよりコロナが怖かったので映画館が密なら見ずに帰ろうとも思いながら。

1と2をベースにして概ね原作に忠実な映画化をされていて、それでいながら原作では未だにメインキャラがほとんど白人しかいない多様性のたの字もない時代錯誤さやウェスカーやレオンのようにマンガ的なカッコ良さで実写演出にはそぐわないキャラを改変と守るべきとこは守り変えるべきは変えれていて、ただゲームを実写化しただけではなく一本の映画として再構成されている。ウェスカーのジルと良い感じで裏切るのも金の為という俗なところは、原作の後付で何がやりたいのかよく分からない絶対者気取りのマトリックスグラサン野郎よりずっと面白い。しかしレオンは普通の新人警官相当に実力を調整されたと言うより明らかに落ちこぼれ警官にされてて、受付に回されても非常時なのにヘッドホンで音楽聞いてて目の前でトラックが横転炎上しても気付かないダメさ加減はとても好感が抱けない。挙げ句は檻の中の民間人に銃を奪われる始末。レオンと言うキャラでなければ絶対に死に役。これが途中で成長するならまだ良いが最後までイケメン以外に取り柄がない雑魚で、トドメを持っていっても「その距離だと味方にも当たんね?」と思ってつくづくどうしようもない。続編があったとしてもコイツをメインに据えるのは難しいと思うぞ。エイダに好かれそうにないし、大統領の娘をカルトから救えるとも思えない。バイオシリーズどころか、全ゲームの男性キャラでもトップクラスに好きなので残念すぎる。

他に期待してたキャラはリメイク版で追加された悲劇のクリーチャー リサ・トレヴァー。リメイク版は後の時代になってあのラジコン操作を再びやるのが難しすぎて見た事はないが大層怖いらしいと噂は聞いていた。しかしリサさん、確かにビビらせはするが良い人じゃん。人の心がある。死亡描写もないので続編でダークヒーローと化したリサがアンブレラの悪いクリーチャー共を倒すオリジナル展開が欲しいくらいだ。実際本作でもリッカーを倒してたわけですし、人間に肉弾戦をやらせたらジョボヴィッチの二の舞いになるから彼女を肉弾戦要員として残していいんじゃないか?使い捨てるにはもったいない。

ホラー映画としての演出はあの振り向きゾンビをやるまでが最高で、ここに来るまで感染者で溜めに溜めて一気に爆発させててゾワッとする。残念な事にゾンビはスペンサー邸に大量出荷されており息をつく間もなく戦うのですぐにただの障害物としか映らなくなる。弾も全く切れない。異様に物が持てなかった男クリスとは思えない。だがライターチカチカゾンビやリッカーが天井を移動して蛍光灯が揺れるようにそこにいるを匂わせた演出があるのはホラーとして仕事を果たしていて良い。バイオファンなら楽しめる。しかしジョボヴィッチ版が好きで原作ゲームには興味がない人には恐らく楽しめない。ゲーム映画としてはありがちなやつ。私にとってゲーム映画はそういうものであって欲しいから問題はないのですが、世間的にそれでいいかと言うと。

それと1と2を同時展開したのは上手く行ってる部分もあるがイマイチなところもあって、クレアとジルはそれぞれの女性主人公だったが共演した本作で差別化はあまりされてなかったように見えた。どっちも腕っぷしの強い女性である以上!強い女性キャラを描くのが難しいんだろうなとは思う。基本タフガイの女版で。かと言って母性とか持たせたら前時代的だし。別タイプのエイダをメインに出せばまた違うかもしれないので続編次第だね。あるかは知らんけど。