スプリングス

映画大好きポンポさんのスプリングスのレビュー・感想・評価

映画大好きポンポさん(2021年製作の映画)
5.0
〈/信じるものを信じた僕らの物語/〉

【Introduction】
「現代社会はヒーローを必要としています
 苦境にあえぐ世界中の人々に
 映画は安らぎと元気を与えてくれます
 ...正直言って 映画より大事なのは若さですけれど
 やはり人生に欠かせないのは 愛 友情 家族 ですよね
 それらに恵まれない人は
 ショービジネスの世界へ
 ここに集まった恵まれない大勢の皆さん
 私は大好きです
 だって才能があるもの
 だから胸を張ってください」

《引用元: 第86回アカデミー賞授賞式
 司会“エレン・デジェネレス”》

【Review】
上記の言葉は僕が何度も繰り返し観ているアカデミー賞の伝説的な回(主に式の途中でピザ屋の配達スタッフを連れ出してピザを配りだすようなぶっ飛んだ司会者のせい(笑))の冒頭で語られたものです。
映画に居場所を見出した者たちが、今度は他の誰かの居場所を作る機会を得る。“映画を撮る”ということの意味をこの言葉は的確に捉えていると思い、とても印象に残っています。
(尚、上記の文章の後に続く言葉は「ただし、受賞歴のある人だけですよ(笑)」ですが)
今作『映画大好きポンポさん』を観てこの言葉が真っ先に浮かんできたのは、この映画がエレンの言葉を寸分違わずに表現したものだったからです。
この映画の主演は“ジーン・フィニ”。いわゆる映画バカで、映画に傾倒するあまり映画の世界にしか居場所を見出せなくなった若者。キラキラした青春とは程遠い生活を送っていた“恵まれない側”。
そんな彼がこの物語で、誰の為になにを得て、なにを失い、何を観せてくれるのか。

...こんなに熱い展開になるとは。。
劇場で観ることができてマジで良かったなって。。

前半の人物紹介・撮影パート大好き。
キャラの紹介が丁寧かつテンポが良くてすぐに引き込まれるよね。ポンポさん的な天才的で厄災的な女性に引きずられる系の物語が大好きなので、前半の流れで「もう好きなんやけど!!!!」ってなりました、笑。(上映時間長い映画苦手なポンポさん可愛い。『サタンタンゴ』(※上映時間:438分)でも観ます?)
撮影現場の雰囲気も和やかで見ていて楽しく、あぁこの撮影に参加してぇ〜ってなります。

後半の追加撮影・融資パートも胸熱。
ちょっと強引な気もするけど、奮闘するキャラクターの執念が僕たちを納得させてくれます。
なぜなら、僕たちは執念の成せる業を知っているから。
『ジャスティス・リーグ ザック・スナイダーカット』を観た僕たちなら知っているはずです。
『この世界の片隅に』を観た僕たちなら知っているはずです。
夢がどれだけの人々の心の支えになるのかを。
情熱がどれだけの人々を突き動かせるのかを。
(...あ、でもザック・スナイダーカットは上映時間4時間なんやった。ごめんなポンポさん)

僕の主目的であったEMAさんと花譜さんの挿入歌もキャラの心情に寄り添ってくれていて素晴らしかったです。
(それぞれ決意・決断の瞬間を後押ししてくれるタイミングでかかるのマジで胸熱)

ほんまにこの映画を劇場で観ることができて良かったです。
人類は全員観るべきだと思います。観ましょう。観るのです。観なければ僕がもう一度観ます。

【Digression】
ちなみになのですが、パンフレットにはキャスト&スタッフさんの好きな映画ベスト3作品が掲載されていますのでとてもオススメです。買いましょう。