スティーブ

映画大好きポンポさんのスティーブのレビュー・感想・評価

映画大好きポンポさん(2021年製作の映画)
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敏腕映画プロデューサーと新人監督を中心に、映画製作の悲喜こもごもを描く映画。

以下、ややネタバレ。
とにかく演出とテンポがいい。原作に相当する部分は尺の半分近くで終わり、そこからはオリジナルの展開になるが、その部分で語られるテーマが実は本作の肝だったことで、評価を一つ上げたくなった。新人監督であり主人公でもあるジーンは天才のように思えるけど(実際そうではあるけれど)、実は映画以外のすべてを切り捨てた人間であり、まさにそれ以外にない人物である、ということが、原作よりもはっきりと描かれる。成果を出すためには努力はもちろん、何よりそれ以外の余計なものを捨て去る覚悟が必要、というなかなか辛辣なメッセージが語られる。実のところそれが完全に正しいとは思えないし、それでもうまくいかないのが現実ってものだけど、それでも映画の中でくらい、そんな夢物語がうまくいったっていいし、それを応援したくなった時点でこの映画が好きになっていたのだと思う。まあ絶対にそうするだろうな、とは思っていたけど(笑)尺もぴったり90分でお見事でした。