"鉄のカーテン崩壊でソ連のユダヤ人は出国を許された"と冒頭のキャプション。ついに"祖国"イスラエルに降り立ち飛行機のドアが開くのを待っている彼らの表情。期待なのか緊張なのか､俺らには計り知れない想いの表情。ソ連のユダヤ人がイスラエルに大量移民という史実をベースに､老声優夫婦の苦労がカウリスマキ風にゆるく描かれてた。けど俺的にはカウリスマキ風よりアンゲロプロス風で観たかった気がする。ほのぼの感皆無でもいいから史実の奥にある想いをもっと観たかった。そしたら予期せぬフェリーニのシーンで俺号泣だった気がする。全部の素材がとても映画的。けどゆるさに寄せ過ぎてる感。極上にゆるいのにアンゲロプロス的厳しさもしっかり刻み込んである､それがカウリスマキだよなあと凄いことだよなあと改めて思った。いや待てそれチャップリンから小津から､昔はみんながやってたことだよなあ､いやまあみんなじゃないけど､だよなぁ。とか思った。
