まるで安寿と厨子王…
でもこれは決して1000年以上の昔話でも寓話でもない海の向こうの現実。
アウシュビッツ収容所での体験をヴィクトール・フランクが書いた『夜と霧』そのもの。生々しく、非情で残酷。
生き延びるために同じ囚人のユダヤ人がユダヤ人を密告したり攻撃したり、ドイツ兵でも見逃してくれたり、ふと優しさを見せる人もいたこと。
絶望の中でも毎日ごく普通の習慣(髪の毛をとかすなど)を続けている人が気を確かに持ち続けられたこと。
この作品でも、ほんの小さな気配りや優しさで人は希望をもっていられることがしっかりと描かれていました。
生きるか死ぬかの瀬戸際の日々でさえ、人は強くなれる。
行動を起こすことがどれだけ意義があるのか、わたしたちに問いかける作品。
監督のメッセージが沢山の人に届きますように。