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トリュフォーの思春期のtakのレビュー・感想・評価

トリュフォーの思春期(1976年製作の映画)
4.0
おフランス映画大好きだけど、フランソワ・トリュフォー監督作品は、いわゆるドワネルものに未見が多いので、まだ観るべきものが多い気がする。「午前10時の映画祭」で幸運にも劇場で「トリュフォーの思春期」を初鑑賞。

邦題こそ"思春期"だが、70年代末期に流行った初体験ものではない。ラストの胸キュンなキス以外に、甘酸っぱい場面はない。子供たちの時に愛らしく、時に小憎らしく、時にあどけなく、時におマセなエピソードが断片的に綴られていく。でも、きちんと物語として収束するのがこの映画の見事なところ。友達のお母さんに恋をしてバラを贈り、同世代の女のコに大胆な行動を取れないパトリック君が好印象。それだけに彼のハッピーエンドにこっちまでニコニコ。

一方で、転校生のジュリアンをめぐる児童虐待のエピソードもあり、子供たちの厳しい現実も描かれる。子供の視線からは、大人ってやっぱりわかってくれない存在。反抗して親とのお出かけを拒否した女のコに、アパートの住人が差し入れをする場面は微笑ましくて好き。アパートの高層階に住む2歳のグレゴリーちゃん、きゃわゆ過ぎ!

子供が産まれて初めて教壇に立った先生が、子供達に語りかけるメッセージが素晴らしい。
「子供には自由がない。でも大きくなって選挙権を得たら、自分の経験から嫌だったことを変えることができるんだ。人生に大切なのは愛だ。」
僕が先生って呼ばれる仕事をやってたら、確実に引用させてもらってたかもなww
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