りく

ある人質 生還までの398日のりくのレビュー・感想・評価

ある人質 生還までの398日(2019年製作の映画)
2.5
実話ベース。またも邦題でネタばらし。どうしてこういう邦題をつけるのか。

これを言ったら身も蓋もないのだけど、戦時のシリアに行ったらダメだよ。

同時期だったのかは分からないけれど、日本人ジャーナリストがシリアに入国してイスラム国の連中に拘束され、最終的には殺害され、処刑時の映像がネットで公開された事があった。

今回の作品中にも同じ描写がある。テロリストの横で声明文を読まされている人質は赤い拘束衣を着せられ、あの時の日本人と同じシチュエーションだった。イヤでも思い出してしまう。

これまでも戦地に入って拘束されたジャーナリストに対して、身代金を国(政府)が払うか否かについては常に議論が沸騰してきた。「自己責任」という言葉と共に。

今作の主人公が住むデンマークは当時もそして今も、戦地での人質に関してテロリストとの交渉はせず、身代金も国は払わないという方針を貫いている。

それが良いのか悪いのかは正直何とも言い様がない。映画を観てれば「払ってやれよ…」と思ってしまうし、とてつもない金額を人質の一家が自分で工面しなければならない大変さは今作でも時間をかけて描写されてるから同情はする。

身代金を払うことで人質は救われる。でもその身代金でテロリストたちは勢力を拡大し、更に多くの犠牲者を生んでしまう。だからといって「払わなくてもいいじゃん」などと無責任に言えるものでもない。とても悲しい悪循環。

映画は、中盤ずーーーっと拷問シーンを見続ける必要がある。

終盤は号泣の連続。

戦争は悲しみしか生まない。ウクライナの人々に一日も早く平和な日常が訪れますように。
りく

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