FujiNori

ドライブ・マイ・カーのFujiNoriのレビュー・感想・評価

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)
4.0
とにかく静かで、時間の長さを感じさせない映画でした。

主役の舞台俳優であり演出家の家福悠介(西島秀俊)は妻を亡くした喪失感を抱えながら、その気持ちを引きずりながら続ける毎日を送っています。
その次の仕事が広島での演劇の演出の仕事。ここで家福は愛車の専属のドライバーとなるみさきと出会います。

住まいから演劇の稽古場までの短い車中の会話や車を大事に運転するみさきの姿を通じて、最初は専属ドライバーなどいらないと言っていた家福も徐々に心を開いていきます。

物語はこの車中の話と、演劇の舞台稽古の話が展開していきますが、やがて家福は妻の音が残した「空き巣の女子高生の話」(この設定もすごい)の話の続きを高槻から聞くことになります。

しかし岡田将生はこういう役が凄くはまりますね。好青年でありながら心に大きな闇を抱え、そしてその闇は大きな過ちを犯すわけですが。物語のキーマンであることは間違いないです。

最後の展開はネタバレになるので控えますが、大事なのは「向き合うこと」何でしょうか。過去は悔やんでも戻らない。ただ眼を背けて生きてもいけない。

「あの時こうしていれば」なんかはあまり良い後悔ではないですが、まったく目を背けることもダメなのかもしれません。

一度とことん後悔し、向き合うことで、この物語の最後のシーンのように次の物語は始まるのでしょうね。
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