天津甘栗

ドライブ・マイ・カーの天津甘栗のレビュー・感想・評価

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)
3.6
春樹ワールドとチェーホフの戯曲が重なり合い、人生の孤独な歩みを描く、人生熟練者向け純文学スルメ作品。
一発では到底消化しきれてないので再観賞が必要。

自分が運転しているような錯覚に陥る延々と続く高速道路、トンネル。
気が遠くなる程、心の安寧は訪れる事はなく、延々と連なる終わりの見えない不安定な人生を生きていく。生き続けていく。

自身を真っ直ぐぶつけて、他者をまるっと認める。理想的だけどむちゃくちゃハードル高いよなぁ。それが出来たらハナから誰も苦悩なんてしない。
人と人とはディスコミュニケーションが発生する事が大前提。きっと愛すらも解決方法ではなくて、できるのは奮い立ち一歩を踏み出し、他者を理解しようとする事。感じようとする事。また、その一歩は己れへの踏み込み。
苦しくとも、それが生きていくということ。
このスルメを噛み締め、生きねば。

度々情事現場となる家福さんちのunicoのソファ、うちのリビングにあるやつと色も型も同じだった。(だからなに)
天津甘栗

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