このレビューはネタバレを含みます
カンヌ国際映画祭の脚本賞、アカデミー賞の国際長編映画賞を受賞の超大作。
ハードルが上がって見たのもあってか、序盤は退屈な展開が続いたように感じてしまった。
ただ、映像が美しいし、3時間あるからかワンカットワンカットに余韻があり、今風に言うと「エモさ」を感じられた。
ストーリーは、主人公・家福と妻の不思議な脚本の作り方から始まり、妻の浮気、妻の死、浮気相手との舞台稽古と、様々なドラマがマイカーでのドライブを合間に挟みながら展開されていく。
最終的に伏線が回収されるのだが、あくまで人によるが、共感できるようなできないような、微妙なものだった。
関係性を崩さないために、見て見ぬふりをするという家福のとった判断は、夫婦という関係であれば腹を割って話すべきだっただろうと客観的には判断できる。
ただ、高槻には注意できるのに、妻には言えないという家福の線引きは、戸籍を入れて、両親や親族、友人たちに祝福してもらった以上、簡単には関係を崩すことが出来ないという「夫婦」の特性を見事に表現していたように思う。
そして、「死んでからではもう遅い」という普遍的なメッセージ。
自分も自分の周りの誰かもいつ死ぬか分からない。伝えきれてないことがあれば、しっかり言葉にしていかないといけないと思えた。