真田ピロシキ

フィールズ・グッド・マンの真田ピロシキのレビュー・感想・評価

フィールズ・グッド・マン(2020年製作の映画)
3.3
シンドい映画だった。ネットが全てなネット民の実態を描かれていて彼らのルサンチマンやそれを拗らせた末の人種・ 性差別思想、そしてそういう奴らに媚びるトランプら右翼政治屋どもとジャパンに住んでいるととても余所事とは思えなくて。なーにが全集中の呼吸じゃーい。バーカ。ペペの作者マット・フューリーに訴えられたオルタナ右翼の奴が「ぺぺなんて嫌いだ」と言ってたのがこの手の奴らの偽らざる本性を曝け出していた。権力に甘い顔されたらヘコヘコと擦り寄る癖に俺達が影響を与えているんだと勘違いしてるオタクの人達は養分に過ぎないしそういう態度を示す奴こそ信用出来ないと本当に思うべきです。ただネット民過激化のキッカケになったインスタグラマーへの反応には少し理解出来るものがあって、劇中のインスタ動画みたいなのを見るとただでさえリア充に反感があるのにカウンターカルチャーという意識があるのであろう領域に土足で踏み込み剥奪しようとしてるとなればそりゃあ燃え上がる。実際のインスタグラマーがどんなスタンスだったのかは分からないしあの動画は極端過ぎるのを切り取っているのだろうが、特定のカテゴリーへの排他的とも言えるこだわりは音楽なんかでも見られる傾向でネット民特有の話でもなく、結構頷ける人が多いと思う。

ぺぺがヘイトのシンボルとして作者の手を離れて独り歩きしたのは言われてた通りぺぺのキャラクターが4チャンネラーにどこか共感を感じさせるものだったのもあるが、マット・フューリーがネットミームに対して無頓着だった事と二次創作へ寛容過ぎた事も大きく感じた。今の時代は二次創作を権利元が推奨しているような世の中で創作者の良心に任されている状況だが、この例のように悪意を以って拡散された事態に対してあまりにも脆弱でそうした問題点を浮かび上がらせる。またフューリーが当初のぺぺ現象に違和感を抱きながらも政治に関心が薄かったのも収集が付かなくなるまでぺぺの濫用を許した一因で、こういうのを見るとクリエイターこそ政治的なスタンスを持っていないとフューリーが最初の内ぺぺと一緒に反差別団体からヘイター認定されたように不利益を被るのだと思わされた。ノンポリこそ危険なアティテュード。

トランプ陣営のマスコットにされたぺぺであるが、映画でフューリーが「トランプもいつか退く」と語って現実社会の退陣を予見し、ぺぺは意外な事に香港民主化運動のシンボルになっててそれを救いとして映画は幕を閉じるのだが、その香港民主化が今ではどうなってるかを知ってるのでやはりこのゴキゲンなカエルの映画は苦すぎる。