麻菜

ボクたちはみんな大人になれなかったの麻菜のレビュー・感想・評価

3.5
東京はまるで、沈みゆくタイタニック号のようだった
渋谷の円山町の坂の途中、神泉のそばにあるラブホテルに宇宙の壁紙の部屋がある
そこは、あの頃の僕らにとって唯一の安全地帯だった
タワーレコードでエルマロを聴きウォンカーウァイの映画を観て、ロンバケのロールプレイをして古着屋でソニックユースのTシャツを着る、そんな普通じゃない自分たちに安心していた
普通に80年代のインディーロックよりJPOPが好きで、普通に映画よりドラマが好きで、普通に毎日同じ時間同じ場所に出社して、普通に結婚してママになるなんて死んでも嫌だと
その影に今はもう取り憑かれていないと言ったら嘘になるけれど、普通でないことにこだわって手に入れた感性があれっぽっちのもので笑えた
そしてみんなその次は、神様を信じる力が欲しくなる
麻菜

麻菜