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警察と泥棒のdm10foreverのレビュー・感想・評価

警察と泥棒(2020年製作の映画)
4.0
【明日】

たった6分間で実にいろいろな事を考えさせられる。
無料のスマホゲームでちょくちょく広告ページに飛んでは30秒とか待たされるけど、ホントそういう無駄な時間をこういう事に使ったほうがよっぽどためになるよな・・と改めて実感。

小学生の頃、放課後に学校のグラウンドが使えない日があって、そんな日は決って誰かの家に集合して「何して遊ぶ?」という会議が始まった。
僕は「ファミコン世代」なので誰かの家に行ってみんなでファミコンっていう選択肢もあるにはあったけど、僕たちの仲間内では「みんなでTVゲーム」っていう発想があまりなくて、折角天気が良いなら外で全力で遊ぼうよ!っていう天真爛漫の集まりだったから、必然的に外で遊ぶ機会が多かった。

昔は今と違って公園での遊び方にもあまり制限はなかったし、全力でサッカーとか野球とか鬼ごっことかとか、とにかくいろんな事をして遊んだ。

で、高学年にもなるともはや僕たちの活動範囲はひとつの公園のキャパでは納まりきらなくなり、やがて町内会、校区と勢力分布図を広げていった。
そんな時、よくやったのが「ドロケー(いわゆる警察ごっこ)」。
これって呼び方に地域差があるらしく、「ケードロ」と呼ぶ人もいれば、素直に「警察ごっこ」という人もいれば「太陽に○えろ!ごっこ」と何らかのインセンティブでも発生しているかのような呼び方の人もいた。

楽しかったなぁ・・・。
今になって思うと、本当に子供の頃は楽しかった。
今も勿論楽しいけど、あの時感じた「キラキラ」はさすがに無いかな・・・。

でね、どんなに必死になって遊んでも、まだまだ遊び足りなくても、やっぱり学校のスピーカーからドヴォルザークの「新世界より」が流れてきたら、「♪と~おき~や~まに~」と歌出だす奴がいて(あ~もうそんな時間かぁ・・・)ってなって・・・。
(因みにこの帰宅時間を知らせる放送の曲にも地域色がありますよね)

夕焼けに照らされながら自転車に跨って「バイバ~~イ!また明日~!」って一斉に散らばって家路に着く、そんな毎日の繰り返しだったあの頃。

将来、自分たちがどんな道に進むかなんて知るはずもなかったし、ぶっちゃけ興味もなかった。

・・・だけど、知らないうちに僕は大人になっていた。
僕だけではない。
あの時同級生だった奴らはみんな同じだけ年を取った。
そして、いつしかあの時の「また明日」が来なくなった。

僕ぐらいの年齢で小学校の時の友達と今でも繋がっている人ってどれくらいいるもんなのかわからないけど、僕に関しては一人もいない、寂しいけど・・・。
引っ越してしまったっていうのもあるし、僕らの頃は携帯とかもなかったから「何もしなくても何となく繋がっている」っていう感覚もなくて、あんなに毎日仲良く遊んでいた奴らと、いつの間にか会わなくなっていって・・・。

子供の頃、自分の未来なんて「そこそこ頑張ればそこそこの仕事に就けてそこそこの生活が出来ればそれでいいかな・・」って、そんなふんわりしたイメージしかなかった。

きっと世界は「何となくやっていれば、何となく結果がついてくる」っていうゆるいレベルの平等で構成されているって心のどこかで思っていた。

・・でも現実は違った。

風の噂では色々聞いた。
会社の社長になってめっちゃ綺麗な奥さんがいる奴。
学校の先生になったのはいいけど無免許運転を7年間もしていたのがバレて懲戒免職になった奴。
普通に公務員になって普通に生きている奴。
小学生の時はヒョロヒョロのモヤシだったのに、そこからメキメキと体を鍛えて気がつけば警察官になっていて、しかもマル暴に配属されて挙句「警察24時」にまで出ちゃったりした奴。
なにやら胡散臭い詐欺まがいの商売やって捕まった奴
ある日ぽっくり逝った奴・・・。

もちろん、本人達の努力次第って部分もある。
でも、本人達すら知らないところでいつの間にかつけられた「差」は、時として、かつての仲間たちに「上下」や「対立」を与えることもある。

先に書いた「ある日ぽっくり逝った奴」は、あまり表立って知られてはいないけど色々と法に触れるようなこともしていたらしいって聞いた。
彼に関しては既に小学生の当時から若干危うい部分もあったから、あながちあり得ない話でもないな・・・とは感じた(笑)。
そして、そんな彼を「警察官になってマル暴にまでなった奴」が一度捕まえたことがあるという話も聞いた。
「それってホント?」って本人に聞くのも野暮だから、実際のところは知らないけど。
でも、そんなドラマみたいなことが本当に起きてしまうのも人生。
その時、彼らはどんな気持ちでお互いの顔を見たんだろう・・・。

そして思う。
僕たちはどの道を歩けば正解だったんだろうか?
僕たちはいつから離れてしまったんだろうか・・・?
あの日、みんなでひとつのボールを蹴り合って遊んでいた。
あのまんま、みんな同じ感じで大人になっていくもんだとばかり思っていた。
「また明日!」って別れたあの日の僕たちにとっての「明日」って・・・。

――子供の頃、「ドロ警」をやって遊んだ。今は警察気取りの奴に殺される――

平等って当たり前のものだと思っていたんだけど・・・
誰かが与えてくれるものなのかな?
それとも自分で努力しなければ手に入らないものなのかな?

大人になったくせに答えがわからない。
僕はどこかで質問を間違えたのかな・・・。

なんだか、作品の意図とは違うところに着地したみたいだ。
でも、これも今の自分の感想だからそのまま残しておこう。
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