松山ケンイチ演じるボクサーは、
試合で1勝もできず、引退を迎える…
いわば社会的な目で見ると“負け組”のキャラクターが
主人公の訳だが、彼が不幸せだとは一切思えなかった。
そう見えないように最後まで演出し切る、
演出力が際立っていた。
どんなに弱くても、
そこまでボクシングに打ち込める原点にも
しっかりフォーカスしていて、
中盤のさりげないやり取りで
その部分を強調するあたりも巧みだった。
「千佳が言ったんだよ」
「私…?」
「瓜ちゃん弱そうだから、ボクシングでも
やってみればって。覚えていないの?」
「…ごめん」
「何で謝るの」
「いや、そしたら私、人の人生を
ものすごく変えちゃったなって」
「…(微笑む瓜田)」
すごく好きなシーンでした…