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復讐の記憶のCINEMASAのレビュー・感想・評価

復讐の記憶(2022年製作の映画)
3.5
 【認知症に苦しむ老人が、ある若者の力を借りて、60年間抱き続けた復讐計画を発動させる!】というスジの韓国産サスペンス。

 監督&共同脚本は『華麗なるリベンジ』のイ・イルヒョン。主演の復讐爺さん役に『工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男』、『KCIA 南山の部長たち』のイ・ソンミン。何も知らずに彼を手伝う事になる青年役に『ジョゼと虎と魚たち』のナム・ジュヒョク。

 これ、カナダのアトム・エゴヤン監督が2015年に発表したカナダ&ドイツ合作映画『手紙は憶えている』のリメイクなんです。オリジナル版では【認知症のユダヤ人老人男性が、かつて彼を酷い目に遭わせた元ナチス・ドイツ勢に復讐する】という展開だった。主演はクリストファー・プラマー。共演にブルーノ・ガンツ、マーティン・ランド―、ユルゲン・プロフノウという布陣で、これはかなりの秀作だった。上映時間も95分と締まっていて、おすすめです。未見という方は是非に!!

 さて、今回の韓国版リメイクは……

 主人公の復讐対象が【太平洋戦争時、慰安婦として滅茶苦茶な目に遭わされた自分の姉や、大日本帝国軍の憲兵に拷問され獄死した兄、強制的に徴用されたり徴兵された同胞たちを踏み台にし、現在では高い社会的地位に収まっている韓国人高官や旧・大日本帝国軍人たち】であるので、この設定だけでネトウヨさんたちは激怒しそう……

 けれど、中盤で、主人公の暗殺対象にされる教授(=暗殺されるのだが)が、若い韓国人青年に親日的態度を詰問された際、「では、君は韓国が大昔に中国に支配された事実も恨んでいるのかね? いつまで恨み続ける気だ? 現在、日本を非難し、戦争を未だに続けているのは、当時に酷い目に遭わされた現代の老人たちだけなのだよ! 君たちは、それらを振り切って未来を作らねばならない!」と言わせている。これには僕も同感するなあ。僕は、「一部の反日韓国人の人達も、いつまでゆうねん!?」とかねてから思っているし、同時に「韓国人どもの被害妄想がー!」と言っている一部の日本人の人達にも、僕は「ええ加減にしときや…… 区切り、つけなはれ……」という立場だから。

 でもまあ、これだけ日本人を悪辣に描かれると複雑な気分になりはする。とはいえ、【ユダヤ人と、かつてのナチス・ドイツ勢】の映画を、韓国映画に置き換えるとこうなりますわね、当然に。でもまあ、映画として良く出来ていたけれどもね。

 あ、あとね。50代後半にして80代の老人を演じきったイ・イルヒョンには理屈抜きで拍手を!! メイクに最大5時間もかけたらしい。素晴らしい熱演と相まって見ものであった。ただ、キッチュ=松尾貴史に似過ぎwww  キッチュに西村まさ彦(旧・西村雅彦)を混ぜ込んだ風ww

 ま、面白かったです。
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