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デッドリー・ブライド 殺人レシピのblacknessfallのレビュー・感想・評価

2.3
「君はフレッド・オーレン・レイを知ってるかい?」

けっこう前にフォロワーさんがレビューしてるの読んで驚いたんだよ。監督がフレッド・オーレン・レイだったから。その名を聞かなくなって下手したら25年は経ってる。
この監督がどういう人かというと、日本で一番有名な作品はおそらく『女切り裂き教団 チェーンソー・クィーン』。これは娼婦がチェーンソーを崇めるカルト集団で半裸、全裸に近いセクシーギャルがチェーンソーを振り回すという映画。まあ、秘宝界隈ぐらいだけど、極一部で熱狂的な支持のあるカルト映画なんだ。要するにセクシーグラマー美女が野郎の劣情に訴えるアクションする系統。他にも色々撮ってるんだけど、基本セクシーグラマーにあられもない格好させることありきで撮る人。
でも、同じ系統の巨匠ラス・メイヤーように演出に冴えがあったり編集が先鋭的だったりしストーリーがぶっ飛んでるとか映画的な才能は皆無。なので時代とともにエロへのアクセスが容易になるにつれ名前を聞かなくなった。
そんなレイがスマホで簡単にポルノが見れる2017年に映画を撮ってたことに衝撃を受けた笑

で、本作だけど、相変わらず主演女優は微妙なラインのセクシー美女で安心したけど、エロい服着たり、エロいことしたり、ヌードになったりしないんで驚いた。おれが観てない間にどんな心境の変化があったのか?そして、ハレンチ路線じゃない映画をレイに撮らせようと思った製作陣は何を考えてるのか気になった。だってレイからそれを取ったらただの不器用な監督でしかないから。

ストーリーは理想の夫と理想の結婚、理想の家庭を求めて婚活に励むセクシー美女が自身の壊れた精神(サイコパス的)ゆえに常人では何とも思わぬ些細なこと(同じ街に元カノがいて友人付き合いしてるとか)で婚約者やその親族、友人を邪推し「浮気してる」「自分を邪魔者扱いにした」と妄想と不安を加速させて邪魔者、裏切り者認定した人間達を殺していくというサイコスリラー。
意外にもストーリーテリングは丁寧で真っ当で手堅い。しかし、もたもたした展開、野暮ったい演技&セリフ、そして古くさい演出が炸裂して普通の駄作になっていた笑
特に、鏡の中のもう一人のサイコな自分が現れ主人公に邪推を煽り不安にさせるという古式ゆかしい演出が数回出てくるやっつけ感が何とも言えずレイっぽくて脱力感と郷愁に襲われた笑

おれだったらレイにこんなの撮らせるなら『女切り裂き教団 チェーンソークィーン』のリメイク撮らせるよ😏
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