矢吹

SLEEP マックス・リヒターからの招待状の矢吹のレビュー・感想・評価

3.9
スリープ、1回目。
ばくのすい。眠りの中で、ボヤけた画面と永い永い音楽、宇宙みたいな永遠、そして、映画は終わり外に出る。ロビーには子供たちが沢山いる。彼らは、名前をわからないが、よく見るウサギモチーフっぽいキャラクターの握手会を待っているらしい。俺はそのキャラクターを見たことはなかった。そいつを横目に朦朧の意識の中で左右に分かれた行き先の、間違った選択肢の道を逆に進む。突如、万雷の拍手。画面の中で。起きた。夢だった。思い返せば、あんなに広い映画館では無い。夢だったのだ。そして、映画は終わり、人がまばらに出て行く。エンドロール。夢の余韻と眠気を噛み締めながら、画面を眺める。右3つ分離れた席に座っていた女が前を通り過ぎる。通り過ぎて、左側の俺の真横の席に座る。手を繋ぐ、そして何かをささやこうとする。突如、万雷の拍手。画面の中で。起きた。夢だった。画面では、アジアの貧困問題に話が飛躍している。えらく寝てしまっていたようだ。前を女性が横切る、さっきとは違い、おれの横は空いている。彼女は座ることなく去って、おれも去った。これが夢と現実。携帯を開けば、ちょうど、友達からメッセージが一通届いた。「見たい映画が沢山ある」。突如、万雷の拍手。画面の外で。起きた。そんな感じだったのか。劇場が拍手に包まれるような作品を見逃してしまったわけだ。そんな中、左後ろの座席の人が手の痺れを訴えている。そして、治す方法を四方八方に聞いている。痺れを訴えたおばさんの周囲8マスの席の人たちにより緊急会議が始まる。割とスムーズに、しばらく痺れた手を振ればいいのではないか、という結論に至るも、おばさんは訝しむ。彼女は、これから私の手で舟を水から救うのに。こんなことで大丈夫なのか。とこちらを脅しながら出ていく。すると俺の前の座席の浜田雅功さんがこちらを睨む。気づかなかった。
俺は急いで言葉を選ぶ。
「ご挨拶させていただきます!」かみかみである。情けないやつだと思われたに違いない。
「横にいるのは頭か?」
「いえ全然関係ない人です!」
起きた。普通に起きた。エンドロールっぽい。ので、寝た。起きた。外に出た。結局映画は1秒も見てないようなものだなと思った。
流行りの言葉で言うならば、爆睡ちゃんかました。
というわけだろう。
なんとなく、世の中は、全く、SNSが全てを変えたのだなという感想を本当にちゃんと寝る前に本編を見て思った気がするけれど、
今となっては、どこまでが夢でどこまでが本編なのか、もう、わからない。
ただね、
最高に気持ちよかったです。これはこれだぜ。寝ていい映画。
眠れる映画はいい映画だっていうしね。今回はまたテイストが違う気もするけれどさ。
とにかく、サブスクとかでもいいけど、できれば映画館でまた、やってくれないかな。
絶対にまた見るわ。以上、スリープ。1回目。
内容ゼロの夢日記。
改めましてのご招待、待ってます。
あとんす!
矢吹

矢吹