工藤蘭丸

名もなき歌の工藤蘭丸のレビュー・感想・評価

名もなき歌(2019年製作の映画)
3.6
珍しいペルー映画ですね。深刻な経済危機に陥っていた1988年に、実際に起きた乳児売買事件を元にした話のようだけど、モノクロスタンダードの画面で、静謐に描かれているところが特徴的。

こういうアート系の作品というのは、テレビで観ていると集中力を維持するのが大変で、2回繰り返して観てしまったけど、日本がバブルで浮かれていた頃に、地球の裏側ではこんな悲劇が起きていたことが衝撃的でした。

ペルー国内の事情は全く知らないけど、本作の主人公は先住民族のようで、有権者番号を持っていなかったりとか、もしかしたら差別的な扱いを受けているのか?同様にゲイ・カップルへの差別などもチラッと描かれていて、その辺りも本作のテーマだったのかも知れません。

ペルー映画を観たのは、もしかしたらこれが初めてかも知れないと思って調べてみたら、昔『砂のミラージュ』という作品を観たことがありましたね。当時私は高校生で、難解でよく分からない作品だったけど、その映像美はおぼろ気ながら印象に残っているかな。機会があればもう一度それも観てみたいものだと思いました。