ミシンそば

ハウス・オブ・グッチのミシンそばのレビュー・感想・評価

ハウス・オブ・グッチ(2021年製作の映画)
4.0
グッチ一族の凋落を非常に淡々と描く、大作大河ドラマ。
最近リドリー・スコット御大こういう長尺映画ばっか撮ってるなぁ…と思っていたが、この映画は160分がそれほど苦にはならなかった。
途轍もない野心家パトリツィア、押しが弱いが根は普通にクズのマウリツィオ、元俳優の古い人間ロドルフォ、変な日本語話す古い人間アルド、ハゲデブだが目元でジャレッド・レトと辛うじて分かる哀れなパオロ、皆キャラが異様に濃い。
リドリー・スコットはそのどのキャラにも大して忖度せず、ベルトコンベアで処理するように淡々と、群像劇を仕上げている。
その中でもパトリツィアの我の強い野心家ぶりや、グッチ一族が救いようのないクソどもであること、グッチの凋落が起こるべくして起きたことなどが赤裸々に描かれている。

ぶっちゃけレディー・ガガ演じるパトリツィアのクソ女ぶりを期待していたところがあったのだが(明らかに重度に肺をやってるロドルフォの前で煙草スパスパ吸うところはクソだったが)、そんなものが霞むほどグッチ一族が全員クソども過ぎて暗殺事件さえも“起こるべくして”と勘繰ってしまう。
パトリツィアは、ただ名声を渇望したわけでもないし、かと言ってただマウリツィオの愛を求めたというわけでもないと個人的に思う。
本当に複雑怪奇な人間だ。それを本当によくレディー・ガガは演じたと思う。
今だ存命のパトリツィア(刑期満了済み)本人は態度がなってないと彼女を叩いていたが。