MisaSugiyama

竜とそばかすの姫のMisaSugiyamaのレビュー・感想・評価

竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)
3.7
細田守監督がアニメを作るきっかけとなった「美女と野獣」をコンセプトにされただけあって、オマージュされたカットや表現がわかりやすい。

ディズニー映画の美女と野獣は隠したい部分を持っている野獣を純真なベルの心が紐解いていくストーリーだったが、「竜とそばかすの姫」の主人公・ベルは強い心と曲がらない芯を持つような完璧なヒロイン像ではない。

隠したい部分を隠してSNSの世界でなりない自分を作り上げるという現代ではありふれた人間像がとても共感しやすく、細田監督のメッセージが伝わりやすかった。

物語終盤、モノローグが入るシーン。「もうひとりの自分」というワードは物語の序盤で聞いたイメージとかなり違ったものになる。
何にでもなれる仮想空間ではなく、紛れもなくネット世界の中の自分も、自分の化身であり、その姿は悪いものにもなれるが、良いものにもきちんとなれるんだなぁ。

ただ、ラストの解決のさせ方が、直球に受け取ってしまうと危険なのでは。でも子供たちだけではやっぱり解決できない現代社会への皮肉にも感じた。

ハッピーエンドというよりは、社会でまだまだ解決できないことの多さに気付かされることが大事な作品だと思う。

多くの人の心に響いたディズニー作品の美女と野獣。その現代版をイメージしたこの作品も多くの人の心にとまることができたら、もっと素敵な世界になるのかもなぁなんて希望が芽生えました。
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