たなか

竜とそばかすの姫のたなかのレビュー・感想・評価

竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)
3.8
面白かったです。
細田監督はいつも個性的なストーリーで一貫したメッセージを伝えようとしているように感じるので、作品を観たらまず最近のインタビューを読むようにしています。

今作は古典「美女と野獣」を新しく作り直すことを念頭に作られたそうです。『現代の野獣や美女はどういうものか、どういうものに抑圧を受けて、どういうふうに開放されたいのか』を考えたときに、インターネットとの親和性の高さに思い至ったとのこと。

恐らく誰もが現実世界からの抑圧を受けて(冴えない女の子がイケメンとなんやかんや疑われて騒がれたり、竜を守ろうとする子どもの声が簡単に退けられたり)、Uで自分をやり直そうとする。
けれどそれを開放できるかどうかはまさにYou、あなた次第であると丁寧に描かれていたように感じます。

細田監督は成長というものを極めて個人的なものと捉えられているように思いました。
人が変わるとき、周囲の人間はサポートしかできず、自分で動くしかない。
だからこそ今作の主人公も自分一人で一歩踏み出したのだと思います。

細田監督いわく『変わらない存在である美女と変わる存在である野獣』は、現代においてはどちらも多面的な自己の中で葛藤しながら変わり得る存在であると受け取りました。
たなか

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