せっ

スペンサー ダイアナの決意のせっのレビュー・感想・評価

4.1

ダイアナ妃が王室を離れる少し前、一族が揃うクリスマス3日間を描いた寓話。

最初に寓話と出てくるようにこれは王室、ダイアナ妃だけの話じゃなくて普遍的な社会の縮図の話に見えた。

序盤、屋敷に訪れる人々の体重を量るという伝統の儀式が出てきて、これは元々楽しんだ証拠に体重が増えていることを確認する伝統儀式だそう。過食症を患うダイアナ妃にとっては無理な課題なのはもちろん、そもそもこの儀式聞こえは良いけど女性からしたらなんてデリカシーのない儀式なんだと(笑)

伝統というものは昔の今より男性中心だった社会の頃に決めたしきたり。そもそも女性にとって有益なものは少ない。それを辛いと感じても、我慢し、受け入れ、継承してきた男たちと、耐えきれず逃げ出した女たちと、男たちと同じように受け入れた女たち、そんな人達によって伝統は作られていくんだなと。

これって、皇后雅子さまや愛子さまが何度も体調を崩されてることを考えると日本にも関係する話では?と思った。

そして、何やら厳粛な雰囲気を醸し出しまるで装甲車のような車から王室に運ばれるものが実は食べ物だったという表現も、食べるのが半ば苦痛にも見えるダイアナ妃にとっては食事=攻撃みたいなもので、武器のような食糧ケースにも納得。

これは個人的な感覚なのだが、女性の方がストレスなど精神面に異常をきたすと「食」に現れやすいなと思っていて(生理前は爆食したくなり、ストレスを感じると爆食したくなり、緊張しすぎると何も食べれなくなる)、「食べる」行為は時にとても怖いものになる。

途中チャールズ王子にせっかく作ってくれたんだから戻すなと言われてるけど、そう言われれば言われるほど何も食べれなくなるんよ💢残すのもったいないし、申し訳ないってわかってるから余計、強迫観念で緊張しちゃうのよ。

ダイアナ妃の着る王室ファッション、かなりカラフルだけど、そんな服よりも自傷行為をしている時の背景(トイレのタイル)やアイテム(スープ)の方が色鮮やかなのが悲しい。そしてガリガリに痩せて服も若干ブカブカしてて可哀想。
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