映画大好きそーやさん

夢追いウサギの映画大好きそーやさんのレビュー・感想・評価

夢追いウサギ(2020年製作の映画)
3.7
1匹ウサギの「家」探し。
絵本の挿絵のような画作りが作品のテーマ性としっかりマッチしていて、終始癒されるとともに、鑑賞後は自然と主人公のウサギのような穏やかな表情を浮かべていました。
社会での生活において、他者との関係を断ち切ろうとしても実際切るのは難しいです。
それは偏に、人間という生物自体が弱いからでしょう。
身体的にも限界がありますし、精神的にもすぐに心細くなりがちです。
1人でできることは限られていて、間違った選択をしていることも往々にしてあります。
本作はそのような人間という生物の抱える、普遍的な、協調性、他者との関わりの大切さをアニメーションに乗せて伝えてくれます。
最初は言葉も出てこないまま照れてしまうウサギも、とある事件をきっかけにコミュニケーションの必要に駆られ、気付けば1つになっている。小さい頃を思い出すと、ウサギと同じようなことをしていた気がします。
同じように恥ずかしがって、同じように仲良くなれていました。
何かしらきっかけがあるにせよ、仲良くなったと自覚するのはずっと後になってから、それも時間の経過によって変化していくものだと思います。
誰しもが経験してきたであろう人生のあるあるが、アニメーションとして躍動し、ミニマムながら大きな共感と気付きを与えてくれました。
寓話性をもった、広義での「家」を探す物語に、心がじんわり温かくなりました!