肉浪費Xアカウント復旧無理ぽ

カラーパープルの肉浪費Xアカウント復旧無理ぽのレビュー・感想・評価

カラーパープル(2023年製作の映画)
4.0
元作で覆すことができなかった黒人間の怨讐の歴史がミュージカル・エンタメとなったことで覆い隠したもの、新たに"獲得"したものの大円団(なるとは言ってないよ?)

公開日に観る気満々でそれまでに元映画であるスピルバーグ版を復讐しましたもの!
で改めて観たその傑作は良過ぎた。あまりにもの近年の(最古から未だ続く)社会風刺の"先見性"レベルが高過ぎた…
なので、この映画は「ミュージカル」とジャンルが違うものの概ね"減点方式"になったのは避けられなかったですね…
でも、それを超えた"新たな感動"と"新たな解釈"があったのも事実。ある意味"新機軸"です。だからこそ、★4.0に到達しなければいけない評価となります。

と言っても、大傑作であるスピルバーグ版と比較すれば文句もそれなりにありまして…やっぱりこの映画は"悲劇(前提)"ありきの「感動(復讐)」なので、154分(スピルバーグ版)→141分とミュージカルを入れても縮小してる"10分超"が些細なようで、「説得力」としては"重要"だったのが目についてしまった次第です…
要は、脚本…というよりも"演出(メイク)と構成"で"ミュージカルとしても"完成度を高められた気がしてならないです…

細かい要点を抜き出すと、(以下スピルバーグ版既鑑前提)
モノローグを省いた事でセリーと母の関係性が薄めになり、幼い内に父親に妊娠させられて2児を産んだ事も超絶重要なのに、初見だと「!?!?」と背景関係が薄くなってしまうことで、終盤の感動の効力も薄くなってしまう。"オープニングで躓く可能性大"。
ここは、"コンプラ"なんかじゃ覆い隠してしまっては元も子もない『事実(歴史)』として向き合わなきゃいけない部分になります。
嫁いだミスターの息子「ハーポ」の子供時代のセリーとの関わりと"子育て時代"、ソフィアの事件後経年の"変貌"、名シーン(印象)の痰ウォーター&ミスター髭剃りシーンを細かいシーンを省略することでここも"セリーの葛藤・心情"を大きく反映したものなのに"意義も効果も薄くなった"と言えるでしょう…

とにかく主人公であるセリー役ファンティア・バリーノさんはブロードウェイ・ミュージカルからの続投出演らしいですが、主軸にペケ付けなくてはいけないのが申し訳なくなるくらい…
それくらい、スピルバーグ版ウーピー・ゴールドバーグ:セリーが強烈すぎ、感情移入しまくりすぎクリスティなんですよね。
その点、ファンティアさんは本番で言われる醜い(ブス)という"個性"の点でいまひとつ…いくらでも黒人界でいそうな"美人"さんです…ここで体型を持ち出したところで、ソフィア役ダニエル・プレックスと"被ってる"上で周りの個性派揃いの中でビジュアルが「没個性」になってると思ってしまった…
どういことかと申しますと、"ソフィア役に食われてしまっている"と思うのは、自分だけの感想じゃないはず。
だって、ダニエルさんこそ助演女優賞のオスカー・ノミネートなんですから。

つまり、ミュージカル映画で引き続き2022年アカデミー賞助演女優賞獲得の『ウェスト・サイド・ストーリー』のアリアナ・デボーズさんのような事が起きているのは、これからのオスカーでの"恒例"になっていくのかも…?(笑)

散々、主演ファンティアさんを落としたようで更に言うと、素晴らしい歌唱力だけど"声質"まで没個性と思ってしまったから、こんな感想が出るわけで…終盤、彼女の『覚醒』までは
一番演出の少ないアローン歌唱だけど、それゆえにまっすぐ美声が胸に刺さる"「主演」の義理を果たした感じです。
といっても、重要なのはそこにいきつくまでの"セリーの道程と魅力"なので、序〜中までにアリエらなかった部分は悔やまれる部分でもあります…

「I'm living !」(わたしは生きている!)

捨て台詞や遠吠えのように若干虚しく響いたかに思えたワードが"伏線"として力強い『讃歌』として効果を絶大に高めたのは、本当に"良構成"として輝いた瞬間でした。
「黒人」であり、「弱者」であり、「女性」であるからこそ届けたい"メッセージ性"ではありますが、"男女、人種、時代に縛られず"現代だからこそ、SNS、コロナ等に疲弊して心細くなってるからこそ耐えて、耐えて、耐え抜いた彼女だからこそ届けられる"応援や喝采"だと感じ入れるものがありました。

沼地酒場の渡る欄干なし桟橋ってベロ酔いすればあれ死人出てるよね?😉