このレビューはネタバレを含みます
バカリズムファンとしては見方が甘くなってしまうかもしれないが、大好物な映画。
ハイローや往年のヤンキーマンガが好きな人もたまらないだろうし、そこに『架空OL
日記』のようなゆるいOLコメディが見事にハイブリッドされていて、笑いもかわいさも熱さもかっこよさも全部味わえる幕の内弁当のような映画になっていた。
バカリズム本人はそんなに映画は見ないらしいが、いろんなヤンキー物の映画や漫画でありがちな設定にOLをぶち込んだだけでなく予想外の裏切りもあり、しかし邪道ではなく最後は王道のバトル展開に持っていき、落語的なオチもしっかりつけているので見事としか言いようがない。
ヤンキー漫画のようなかっこよさとケレン最優先の場面も多数ありながら、もしリアルな会社内でそれが行われていたら、どんな風に後片付けするのかなどなどリアルな日常のギャップでクスクス笑いも逐一入れてくるので飽きない。
キャリア史上最大のはまり役といえる広瀬アリス演じる番長が缶ジュースを握りつぶす場面が特に見どころ。
そして、面白さとは何か、“主人公”とは何かと全編にわたるギャグを通して物語論まで突き詰めているのが地味にすごいと思う。
正直、アクションはスカしや、雑なワイヤー、スローモーションで片付けられている部分もあり、ちょっと物足りないのだが、それすらもギャグとして受け入れられてしまうのが、クレバーというかズルいところだが。
それでも女子同士のバトルにしてはちゃんと肉弾的なアクションをしているし、何より各女優(一部男優)の表情の演技と怒鳴りの芝居がうまいので笑いつつちゃんとヤンキーバトルものとしても楽しめてしまった。