昼行灯

女番長 野良猫ロックの昼行灯のレビュー・感想・評価

女番長 野良猫ロック(1970年製作の映画)
4.3
昭和40年代好きは絶対に観た方がいい映画😫ファッション、音楽、サイケデリック空間、ネオン全てが詰まっとる😫😫ゴーゴー喫茶をはじめてみた喜びがすごい😫😫😫

アコのジェンダー・アイデンティティが気になった。アコは男に男なんだからもっとしっかりしろよという一方、女は女だという歌を歌い、ショーウインドーに飾られている服にうっとりする。男に男なんだからというシーンについては、敵が来たが怖いという時のヨシオや出来レースではあるのだが、試合中に倒れ込んで虚ろな状態になっているテリーに対して彼らを鼓舞する。すると、彼らは勇気を出すことができていたのだ。アコ自身、男と間違えられるような容姿をしており、男に男らしさの記号を押し付けるものの、彼女もまた男らしさの記号を周囲から押し付けられているといえる。実際彼女の気風を考えれば、自分としても男より男らしいと思っていそうだ。
だが、彼女は同時に女らしさの側面も持ち合わせる。ショーウインドーに飾られた女の子らしい服をアコが眺めるシーンがある。アコはショーウインドーよりも低い位置に立っており、並び立つ洋服の数々を見上げている。アコの顔は鏡に反射しており、ちょうど服の上にアコの笑みが映る。このことは、アコが女の子らしい服を着ている自分を想像していると言えるのではないか。夜の街はネオンに彩られ、ショーウインドーにもその光が滲んでいる。ショーウインドーに映るアコはさながら女らしさの記号を纏っているようだ。
そのあと、アジトに戻ったアコは、メイとヨシオがキスしているところを目撃する。彼女は2人の雰囲気を察して外に出て煙草を吸いながら女は女だと歌を歌う。男のような格好をし、けんかっぱやい彼女も一人になった時は何をしてもやはり女であると自分に言い聞かせるように歌うのだ。このシーンではカメラは少し離れたところから彼女を捉え、アコの孤独は強調されている。アコは好きでバイクにまたがり誰に強制される訳でもない服装をしているのだから、もちろんアコは自身に存在する男らしさを拒んでいたわけではない。そうではなく、アコは男らしさと女らしさの記号を上手く使い分けられないことにもどかしさを感じていたのではないか。

デザイン的な編集もかなり好みだった。
何曜日とかテロップが入ることで、ストーリーにメリハリが効く。また、テロップの背景は蛍光色一色で点滅しており、目がチカチカして視覚的にもメリハリが効いている。 グループサウンズの音楽に合わせて高速で点滅してるのもあって聴覚的にも面白い。
他にも蛍光色の面白い使い方はあって、テリーが勝った時のヨシオ、敵、メイコたちの背景が蛍光色一色になっていた。まるで映画が漫画のコマのようになっていて面白かった。
はじめのころしか見られなかったが、2人で喋っているときに切り返しを用いるのではなく、画面を2分割してたのが新鮮だった。それこそ漫画みたいな演出だといえる。
あと、敵と戦う雰囲気になった時に画面全体が暗くなるのもコミカルだったな。コミカルっていうか、アニメっぽいってことなのかもしれない。アニメ見ないから分からないけど…
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