Inagaquilala

楽園の夜のInagaquilalaのレビュー・感想・評価

楽園の夜(2019年製作の映画)
4.0
「新しき世界」(2013年)は未見だが、「The Witch/魔女」(2018年)を観て、その思いもかけぬ展開に唸らされたパク・フンジョン監督の作品。南の島に身を隠したヤクザの主人公が現地の女性と知り合うという設定が、明らかに北野武監督の最高傑作「ソナチネ」(1993年)と同様で、劇中の海辺のシーンでも、リスペクトするような場面も登場する。ただ、作品としては、そこまで内省的なものではなく、済州島の美しい景色とアクションシーンのエンタメ的要素が、観る者を楽しませてくれる。とにかくクオリティの高い作品だ。

特に済州島の逃れたヤクザの主人公テグ(オム・テグ)と、結果的に行動をともにすることになる女性ジョエン(チョン・ヨビン)の存在がとても魅力的に描かれており、彼女の見せる優れた銃撃の腕前が、爽快な場面を導き出している。それは「The Witch/魔女」の主人公、最強のスナイパーである少女を彷彿とさせる。まるで、このような設定がパク・フンジョン監督の好みだと言わんばかりに。舞台となる済州島には一度だけ出かけたことがあるが、こんなに魅力的な島だったとは。あらためて監督の映像づくりに感心した。美しきスナイパー、ジョエンを演じるチョン・ヨビンは、Netflixのドラマシリーズ「ヴィンチェンツォ」でも主人公に絡む強気の女性弁護士を演じている。
Inagaquilala

Inagaquilala