RyotaMori

レミニセンスのRyotaMoriのネタバレレビュー・内容・結末

レミニセンス(2021年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

一応SFでありながら20世紀前半のアールデコ様式の建築や内装、アナログな機械、クラシックカーなどの美術面は素晴らしかった。
戦争や温暖化による荒廃で最新のIT関係技術やインターネット使えなくなり、なんとか20世紀の技術は維持しているという物語世界の背景やフィルムノワールのような雰囲気を感じることができた。
しかし物語の終盤、黒幕を追い詰める決定的な一手で、それまで登場していなかった携帯電話(スマホ?)が使われてせっかく作り上げた世界観がもったいなく感じた。


記憶を見る装置が重要な要素をもつ本作は、以外にも脚本や編集はオーソドックスな印象を受けた。記憶を見るシーンでは前後にほぼ必ず主人公の口上や装置を写すショットが入るので、観客に今見ているのが(映画内の)現実なのか記憶なのかの判断がつきやすい演出がなされていた。
いわゆるハリウッド黄金期の「まっすぐな廊下」と言われる、物語を観客に伝えることが第一義で、他の要素は物語伝達の補助にすぎない、まるでまっすぐな廊下を歩くように物語が展開していく物語構造をしていた。人物士の会話は基本的に切り返しを多用しているし、格闘やチェイスのシーン、スローモーションの使い方もハリウッドのアクション映画の文法的なものに則っていたと思う。
酒瓶や水槽が割れる酒場での銃撃戦、市場や建物の屋上でのチェイスなど、アクション映画の様式(悪く言えばどこかで見たことのある)を踏襲した映像が多く映像的な新しさはなかったように思う。

過去へのノスタルジーが一つのテーマである物語だが、映画の構造自体もまた過去の映画へのノスタルジーを多分に含んでいると感じた。
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