RyotaMori

HereのRyotaMoriのネタバレレビュー・内容・結末

Here(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

ソファで眠る男を映しつつ、手前のガラスに外を走る電車が反射するショットが印象に残った。観客席で思わず声が出そうになった。
思えばこの男が最初に映ったショットもアクリル板越しだった。
バカンス前最後の仕事を終えた男が、どの乗り物で帰省するか話し合っている。
バスには強い西日が差し込み、アクリル板には車外の風景が流れているため男の表情は窺いにくい。
ガラス越しに映されることの多いこの男は、同僚と穏やかに話し、隣席の人に肘が少し当たっただけで素直に謝ることができるような男だが、何かに阻まれていると感じた。他者とたしかに繋がりを持っているはずなのに何かに阻まれている。
その阻まれは、観客にはガラス越しのショットで意識させられ、当人には不眠症という形で表れている。

その、孤独を感じさせる阻まれが、出会いを通じて人と人の間に挟まるクッションのようになっていく様を見ることができる。
ガラス越しのショットによって、同じ場所にいながら異層にいる者達が、一つの(意識の)面に集う。
RyotaMori

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