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エリザベス -狂気のオカルティズム-のyamabbeyのレビュー・感想・評価

3.4
実際に被害にあった女性が、自分を神の使いと信じる男とその妻から拉致されて数々の暴行を受ける辛い共同生活を送った当時の心境を語るパートと、当時の様子を再現ドラマで見せるパートが交互に来る構成。

当時14歳の少女がなぜ逃げられなかったのか、どういう心境でいたのか、がドラマと本人の解説でよく分かる。度重なるレイプや暴力に心が折れかけながらも、結果的に助かり家庭を築いた女性にはこのまま幸せが続いて欲しい。

この女性以外にも尋常ではない数の行方不明者がいることを示唆する場面もあり、そうした人たちの顛末も気になった。本作の女性も何度か助かりそうな場面があっても声を出せない心理的圧力で機会を活かせないことがあり、他の行方不明者も案外身近にいても逃げ出せないような状況にあるのかもと思うと憂鬱。

主人公女性の経験は本当に悲惨なものだが、この作品の中では心理面の動きが中心に描かれ暴力シーンはそれほど生々しいものは直接は描かれないので見やすかった。それでも自ずと描かれないシーンを想像させられるので、心理的にはキツかった。犯罪そのものに気分が悪くなり、被害者を思うと辛いが、一人のサバイバーの話としては生きることについて勇気をもらえた気もして鑑賞して良かったと思う。
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