イルーナ

ウォンカとチョコレート工場のはじまりのイルーナのレビュー・感想・評価

4.0
【お菓子黙示録ウォンカ】

かの名作『チャーリーとチョコレート工場』の前日譚!と売り込まれている本作。
しかしその実態は70年代の『夢のチョコレート工場』の前日譚。
そのために「プロモーション詐欺だ!」と不当な誹りを受けてしまった作品です。
日本では夢チョコは劇場未公開、逆にチャリチョコは圧倒的な知名度とはいえ、確かにワーナージャパンのやり方は不満があります。
夢チョコを知らなくても、ウンパルンパのデザインが違うことに気づいて「ん?」となった人もいそうなもんですが。
おまけに監督ではなくハリポタを担当していたプロデューサーの方が前面に出されるというチグハグさ。
監督のポール・キングは『パディントン』シリーズを手がけているのですが、この作品も十分知名度あると思うんだけどなぁ……

それはさておき。
元々このシリーズは強烈なブラックユーモアが売りでしたが、本作はまさに王道をバシッとキメた万人向けエンタメに仕上がっていました。
バートン版のチャリチョコのアクの強さにドン引きした人でも安心でしょう。
ウンパルンパの歌や『Pure Imagination』が使われただけで、夢チョコを知ってる身からすればワクワクさせられます。
それまでどこか影のある美形というイメージだったシャラメも、ここではまっすぐな好青年の役。うーんキュート❤
奇人ぶりや内面の弱さをこれでもかと強調されたジョニデ版とは見事に正反対。
母親からの愛を受けてまっすぐに育ったシャラメ版と、父親の確執を抱えひねくれたまま育ったジョニデ版。
スーパーボウルのCMでの二代目シザーハンズといい、シャラメはジョニデの後釜というポジションなのでしょうか?
こんなキラッキラの完璧超人がどうして後年あんなにひねくれたキャラになっちゃうんですかねぇ……

ラストでチョコレートそのものではなく分け合う人がいることが大切だと知るのは、貧しくても家族でチョコを分け合うほどまっすぐ育ったチャーリーが後継者になるというのにつながっていますし。
本作のウォンカは文盲という設定なのですが、読み書き勉強した成果でもあるのでその感動も倍増です。
それでも、チョコレートの素材(ミクロサイズの生きたアブ……)や効能(一口食べればハイになるってそれ麻薬……)にブラックさの面影は残っていますが。
また、文無しになった挙句宿屋に騙され地下労働を強いられたり、街を支配するチョコレート組合の目を避けるため闇営業に精を出すウォンカと仲間たちを見て思わずカイジかな?と思ってしまいましたw
あと、ローワン・アトキンソンはどんな役を演じていてもやっぱりMr.ビーンにしか見えないw

にしても、敵キャラの黒人にスラグワースっていたけど、「夢チョコの方にもライバル企業の社長でいたよな?」って思ってたら名前まで一致していた……RaceSwapやん!
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