地下鉄サリン事件の被害者でもある監督がメガホンを取るドキュメンタリー。
当事者でもある監督自身を作品の舞台装置として使っているのが特徴。
今作の取材の対象である現アレフの広報担当の荒木氏と監督の両親が会話をするだったり…
この監督にしか作れない作品であるのは間違いない。
全く当事者などでは無い自分がなぜオウムに興味を示すのかと問われたとしたら、なぜ入信する人間がいるのか、その人間の心理状態であった。
今回はその疑問の答えが少し見つかったような気がする。
広報担当の荒木氏は小さな頃からこの世に対して無常感というかやるせなさのようなものがあった様に感じられた。やはりそうなった場合にたどり着くのは宗教などの見えざるものになるのか。
映画館に張り出されていた監督のインタビュー記事の切り抜きに「タイミングさえ合えば誰でもこう言ったものに取り憑かれてしまう可能性がある」というようなコメントがありまさしくその通りだと感じた。
たまたまタイミングが合ってしまっただけ、ということを裏付けるように荒木広報担当の少年時代がインタビューにより描き出され、きちんと人の持つ多面性を伺うことができる。