真田ピロシキ

ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカットの真田ピロシキのレビュー・感想・評価

3.0
2回目のワクチン接種を終えて大人しくしててちょうどU-NEXTの体験期間が終わる間近な事もありそんな時でもなければ見なさそうな映画を見た。劇場公開されたジャスティスリーグはBvSの負債を背負わされたかのような映画で人殺しのバッドマン(あんな奴バッドマンで十分だ)がヒーロー代表のような面をするわ、殺して当初は存在を伏せてたスーパーマンを早々に生き返らせるわ、全体的におちゃらけていて真剣味が薄かったりであまり良いところが感じられなかった。実質初登場になる奴らもキャラが掘り下げられておらず漫画を読んでなければ意味が分からなかったであろう。今作では尺を大きく足して各ヒーローや強いだけで何の印象も残らなかった敵の描写を増やされている。その時間は何と4時間。長すぎだ!そりゃそれだけの時間があればよっぽどヘボくなければ十分に描けるだろうが映画として上手いとは思えない。映像は壮大に音楽は荘厳になっていて、パート2で描かれた古の地球における神々アマゾンアトランティス人間グリーンランタン連合軍vsダークサイド軍の描写はLotRのようなファンタジー映画の趣がある。しかしファンタジー的展開でない時も壮大かつ荘厳な傾向は強くやたら演出がもったいぶっているので時間の流れがゆったりと感じられ、ザック・スナイダー十八番のスローモーションもあって長い映画が更に長く感じられる。そのせいで2時間もしない内に集中力が途切れててながら見がちに。

ザック・スナイダーはマーベルの作風をけちょんけちょんに言ってたらしくて、本作は『アベンジャーズ』風味にコミカルにしてたジョス・ウェドンのオリジナルとは打って変わってアルフレッドとのやり取りや置いてかれるゴードンなどのユーモラスな描写はあってもギャグはない。オリジナルで特に駄目なギャグは戦場となった町の人々救出をフラッシュとスーパーマンがゲームのように競ってたとこで「お前ら命がかかってるの分かってる?」と言いたくなる描写だったが、本作ではこの町の人々自体がおらずふざける余裕など全くなくて地球の存亡をかけた戦いに相応しい。

エピローグには本来ザックが構想していたと思われるシリーズの展開がブルースの悪夢という形で描かれていて、荒廃した世界で様変わりしたチームの中に含まれるのは本編でもルーサーの誘いに乗ってたスレイドに加えてジョーカー!スーサイドに出てた腑抜けとは違った正真正銘のクソ野郎でロビン殺しの件でバットマンを挑発する。対するバットマンの口から語られるハーレイクインの結末はBvSで改心したように見えてもこの世界のバットマンはやはりバッドマンなのかもと思わされてザック・スナイダーのバットマン観が相容れなさそう。バットマンがやったのではないかもしれんが。そして敵として出てくるスーパーマン。また戦わせるつもりだったの?と思うけれど、あれだけ苦戦していたステッペンウルフを余裕でボコるのを見てると敵のポジションの方が絶対似合う。まぁ私は元々スーパーマンというキャラクターが嫌いなんですが。味方側の色んなキャラクターが命を落とし取り返しがつかなくなっててしかもこの流れでマーベルみたいに生き返らせる事もなかっただろうから、こういう真剣味のある方向性ならまだ見てたかもしれない。尤もフラッシュが時間を戻せるので結局は出来レースの可能性もある。

ジョス・ウェドン版以降のDC映画を見てないが本作は全然繋がってないと思うので独立作品に近い感覚で見れるのは良い点。ただ4時間もあるのでやはりお薦めはしかねる。