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狼をさがしてのsayanuのレビュー・感想・評価

狼をさがして(2020年製作の映画)
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韓国の監督が作った70年代の日本のテロのドキュメンタリーという前情報だけでふらっと見に行った。

知らない事件だった。
知れたことがこの映画を見ての良かったところ。

連帯をどう持つか?というトピックの映画だと思った。国としての連帯、社会運動の連帯、加害者の連帯、、、。
支援者の存在について繰り返し語られるが、言説だけでここまで連帯できるという事実がにわかには信じられない。「社会運動は持てるものの遊び」という言説があるが、それと同じことを感じてしまった。それだけ貧しい現在を生きているのではないかと自問した。

戦後補償に不平等がある、補償されていないというのは私も同意するところなのだが、国内企業に暴力を振るうという発想には全く共感しない。そして太平洋戦争で日本が侵略した国々を指して「アジア」とくくる発言が随所に出てきたが、それは日本を「アジア」内部と捉えない、それこそ侵略の思想と同じ発想を受け取ってしまうので気持ち悪かった。日本企業が経済的に搾取しているという主張も、もはや半ば過去の数字であり、経済情勢がはっきり変わった際にどう主張するんだろう?と気になった。
リアルタイムではない世代として、そう感じることこそが社会の変化としてポジティブやのかもしれない。日本の70年代は本当に不思議な時期だ。

だからこそ70年代は過去であり、現在とは全く違うというのは強く強く思った。世代の違いは大事に具に見ていかないと重大な間違いを犯すだろう、という汎用的な危機感を持った。
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