雨宮はな

Arc アークの雨宮はなのレビュー・感想・評価

Arc アーク(2021年製作の映画)
3.0
後半を観るために前半を耐える必要がある映画。
原作小説があるらしいので、そちらも気になるところ。

不老不死を選んだ人間の視点を通して、「あなたはどう生きる?」と投げかけたいのだと思った。
不老不死を選んだ場合だけでなく、今この瞬間にも当てはまる世間的な不都合が提示されているのは興味深い。
たとえば「全世界で出生率が0.2人にまで落ち込んだが、自殺は歯止めが効かずに合法化してはどうかという声がある」といったところ。
ストップ・エイジングの方法が大金でもって生き続けるのか、死亡なのかの違いになった世界は現代と大差ないように思えた。

とても現実的なのは、サービスが実現してからしばらくは「処置を受けられる人数に限りがあり、命のボーダーがひかれる」状況があったこと。
その後は「金銭面をクリアできるか」「遺伝子異常がないか」の条件が出てくる。
「40歳の壁」と呼ばれる処置時の年齢の限界は後に突破されることになる。

不老不死状態のリナの世界がモノクロなのが全てを物語っているが、補助輪としてリヒトが「お前は変わらなくても世界は変わる」と教えてくれたり、カメの葬儀のシーンがある。
若いまま生き続ける、見た目年齢と役割が一目で一致しないことで他者を役割ではなく個人名呼び捨てになるのも興味深かった。
(5歳児が9X歳を「リナ」と呼ぶ様子は私にとって異様だった)
雨宮はな

雨宮はな