真田ピロシキ

悪魔のいけにえ レザーフェイス・リターンズの真田ピロシキのレビュー・感想・評価

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クソすぎる。90分もないのに2時間半くらいはあったかのように感じられた。あの『悪魔のいけにえ』の正当続編と言ってるそうですがふざけないでほしい。ふざけた続編ならデニス・ホッパーとチェーンソーチャンバラしてたやつがサイコーだったじゃないか。このシリーズはオリジナルが狂気に満ちてたのであとは何をやってもセルフパロディにしかならなくて完全に開き直った怪作がアレなのであって、変に真面目ぶった顔をするとロクなことにならない。『テキサスチェーンソー』が割と上手く現代風アレンジできてたくらいで。

登場人物は反資本主義的でテキサスの町をまるごと買い取って理想のビジネスを始めようとするカップルと2人の姉妹。テキサスなので保守的で、一行は地元の排ガスを流しまくるマッチョな男や警察に何かと絡まれてて先行きの危うさを示唆する。姉妹の方は男が銃を腰にしているのを見て大声で嫌味を言い、何もそんなわざわざ喧嘩をふっかけるようなことをしなくてもと思うが、どうやらSNSで銃に反対する動画を流している模様で結構なリベラル派一行であることが分かる。この人達が襲われるのだろうから、単にレザーフェイスが敵なのではなくて保守的な町の連中の怖さも描かれるのかと思った。もしかしてレザーフェイスが敵でも味方でもない立ち位置なのもあるかも?って。

町につくと買い取ったはずなのに立ち退いてない怪しい老婆登場。同居するのは大男。ネタバレするまでもなくコイツがレザーフェイスなのだけど、50年近く経ってるのに昔のと同一人物くさいのは一体。レザーフェイス、一応普通の人間でしょ?心臓発作を起こした老婆が搬送中に死んでからは、保安官とカップルの女の方を殺してレザーフェイス復活。町に戻って老婆との揉め事の原因だった権利書を探してた男の方もザックリ。この件は完全に男の勘違いで、同時期に町にやってきたビジネスパートナー達がまさに殺され役としか思えない軽薄そうな連中ばかりで雲行きが怪しくなってくる。レザーフェイスは彼らが訳も分からず避難していたバスの中に乗り込むのだがその演出は平凡なホラー映画のパリピそのもので、しかもレザーフェイスをスマホで撮影してSNSに上げる描写もあって果てしなく恥ずかしくなるダサい風刺。SNSのコメントに「安っぽい出し物」と書かれてたがそれはこの映画のことだよ。スプラッター描写もアホくさー

オリジナルの生き残りであるサリーは未だ生き延びて復讐の機会を伺っているという設定なのだが、演じていたマリリン・バーンズは亡くなってるために別人なのでだからどうしたという感じしかせず、しかも歴戦のレンジャー経験を重ねて戦いに駆けつける姿はマッドマックスに出てきた戦う婆さんの劣化コピーにしか見えない始末。それと姉妹の妹は学校の銃乱射事件で撃たれながらも生き残ったという過去を持っているのだけど、重傷を負ったサリーは「逃げるな!」と言って銃を託し妹も結構ノリノリで撃って退けるという驚愕の展開(悪い意味で)。全米ライフル協会大推奨映画!!ドナルド・トランプはあなたが銃を撃つ権利を保証します!!!!バーカ。ポリティカル・コレクトネスが大嫌いな人のために作られた映画なんですかねーそれでも評価できる内容じゃないと思うよ。最後のアレも脈絡なくショックを見せようとしただけの空虚なもので何の心も動かされない。

果たしてこんな劣化コピーの劣化を繰り返してまでこのシリーズを続ける意味があるのだろうか。レザーフェイスが見たいなら『Dead by Daylight』をやった方がいいと思います。あれなら見るだけでなく動かせるし、もしかしたら本田翼と一緒にできるかもしれませんよ。