3つの短編からなる1本。観終わって、完全なる至福感しかない。公開されたらまた絶対に観ます!
3話それぞれメインとなるのは2人の会話で、通常、物語を動かすにはそこにもう1人が介入してくる必要があるように思うが、
2人の間に起こる〝偶然〟という介入物が、彼らにも、観ている私たちにも〝想像〟を大きく超える人間の可笑しみと希望もたらす。
登場人物たちは皆淡々と、あるいはまじめに必死に行動して語ってるんだけど、一生懸命なほど人って滑稽だ、というね。たくさん笑った。えっ!?そうなの?!あはは!、くすくす、うふふふ、ってのが、思いがけないとこでやってくる。
なんて楽しい!そして胸に染み込んでくる何とも言えぬ、未知の歓びとの遭遇。
出演者も全員ステキです。
大学教授の渋川さん、もだえるほど最高。
「魔法(よりもっと不確か))
古川琴音
中島歩
玄理
【追記】
友達と話してて、「彼女はそもそも行ってないよね!」「…ってあいつに言い放てたらな、という〝想像〟か!」という結論に至った。
「扉は開けたままで」
渋川清彦
森郁月
甲斐翔真
「もう一度」
占部房子
河井青葉
東京フィルメックスでのオープニング。上映前の役者陣と濱口監督の舞台挨拶と、トークも、上映後の監督と中島歩さんQ&Aも、
濱口組に馴染みある人たちと、今回初めて体験する人たち、それぞれから、『ドライブ・マイ・カー』で見せたあの独特な本読みとリハーサルを経たリアルな気持ち、言葉を聞けたし、本当に心地よい工程で出来上がっていったのだなぁと伝わってきたし、
濱口監督から、ワンカットで撮っているあいだに何してたかとか、楽しい話もいろいろあり、かなりの充実感。
濱口監督いわく、キャスティングの決め手は、「演技がうまいとかへたとか、僕には分からないし、そういうことではなくて、人柄、一緒にやりたいなと思った人とつくっていくだけ」
それは、キャスティングされた側の中島歩さんも「監督さんやプロデューサーの方が、友達になりたい人たちか、またそういうふうに思ってもらえるか見てほしいと思ってオーディションに行くので、濱口監督の考え方がすんなり共感できた」みたいなことをおっしゃっていた。
濱口監督「中島さんて、背が高くてハンサムで声が良くて… だけどなんかダメなとこありそうじゃないですか? そこが魅力的」「当て書きというと失礼か、でも中島さんで、と思ったらすぐイメージできて書いた」
苦笑いしつつ「自分、そうです」みたいに返す中島さん。いいですね。
そういう、つくってる人たちの雰囲気って、絶対、画に出ますよね。ほんと好き。
ああ、なんて愛らしい映画なんだ。
エリック・ロメールの編集してた方から、ロメールにとっての短編の重要性を聞き、「撮ったらいいのに!」と言われたのが本作に取り組んだきっかけ、という濱口監督。
短編7作あって、そのうちの3作だそう。今後それらも観られるのかな、楽しみ!!
東京フィルメックスのサイトには、濱口監督と黒沢清監督との対談がアップされるとこのと。
濱口監督が、「そのなかで黒沢さんが、中島歩さんは、佐分利 信みたいな俳優だねって言ってました」と言うと、
魅惑の低音ヴォイスで静かに話していた中島さんが、「ほんとですか!?」と大きな声を出して反応、身を乗り出した。そして再び静かに「ぜっったい読みます…」と続けたのであった。
ところで全然余談なんですけど、濱口監督の話し方って、声のトーンや質は全然違うんだけど、早口でさらさら話して時々自分自身にツッコミ入れる感じとか、なんか、山下達郎さんぽいと思った😆
思うままにつらつら書いてしまったが、
公開後に観たらまた書くと思います。