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偶然と想像のmareのネタバレレビュー・内容・結末

偶然と想像(2021年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

濱口竜介の実験と遊びが至るところに散りばめられたオムニバス。従来の会話劇のように想像させて予感させる作りはこれまで通りだが、今までにない要素として短編ゆえのラフな温もりと程よい脱力感が伝わってくる。現実の私たちの視点に寄り添いながらも、一癖も二癖もあるキャラクターの言動が新しい笑いを誘い、濱口竜介がこういうテイストの映画も撮れるという新たな可能性に驚かされた。本人も言っていたが、破綻しないギリギリのバランスで観客が支えることで成立しているのだなと個人的に解釈した。偶然は小さなことから大きなことまで、時には日常から非日常へと連れて行ってしまう。そして人間は想像から喜怒哀楽を抽出している。矛盾を抱えた人間をこうも可笑しく描くのは流石。フラットな会話だからこそふとした瞬間にそれぞれに戸惑いが生じ始めるシーンが際立ち、取り返しのつかなくなっていくシュールな状況に見入ってしまう。これまでの作品に見られるカッチリとした印象から、人間のズレを暴走させていく崩したスタイルに振り切れた印象がある。PASSIONが大好きなので馴染みのキャストにも安心感があるし、新キャストもぶっ飛んだ役を淡々とこなしていて良かった。個人的に第一話が一番好き。古川琴音ちゃん推せる。
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