ガッサ28

偶然と想像のガッサ28のレビュー・感想・評価

偶然と想像(2021年製作の映画)
4.9
すごい、すごいいい。
監督の脚本力は凄まじい。こんな書けたら化け物じゃん、小説とか原作書いたら絶対面白いやつじゃん。
第3話とか最後少し泣いた。

本作の構成要素は本当にシンプル。
1つの場面でメインとなる2人が淡々と、延々と、じっくりと会話をしていく。
会話で全てが作られていく。
その人の心の中にある気持ち、自身が欲しているもの、願望、後悔。そういった人間の複雑な感情、見えない何かを会話で可視化・顕在化していく。
会話からキャラクターが浮かび上がり、観客はそのキャラにいつまのにか愛情を覚え、目が離せずに物語に没頭してしまう。
役者の言葉も第2話や第3話なんかの距離感がある相手の場合は少し棒読み・朗読っぽく話させ、会話によってドライブしてくると積み上げられたキャラの感情が漏れ出るように口調が変わるという演出がほんと好き。勿論車内の会話シーンも。

派手なアクションシーンや見たことないようなCGを使った物が壊れるようなシーンはない。
しかし、なぜこんなにも密度が濃いのか。
心に迫ってくるのか。
すごすぎ、面白すぎ。

会話をして相手を理解し、自分のことを相手に伝える。
第一話内でも「会話がエロい」とあったように、会話人間のコミュニテケーションの根本である。
しかし、私自身は会話をちゃんとしてきたかと自問自答してしまった。
会話で相手を理解できるかよりも、会話が途切れて気まずくならないかばっかりいつも心配していたなと思った。それか意気地がなくて黙ってしまったり。
会話で相手と見えない何かを一緒に描いてみたいと思った。
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