わずか70分強にセリーヌ・シアマという作家の魅力を詰め込んだような作品。
抑制された美しさをたたえた画面だったり、余白や含意に満ちた日常描写だったり。あるいは終わりある時間の愛おしさや切なさを描いてるとこだったり。
現実と夢、子どもと大人、瞬間と永遠、終わりとはじまり、友情と恋愛感情といった色んな境界線を曖昧にしながら、嬉しいやら楽しいやら切ないやら色んな感情を喚起させられる。
見終えたらば、日々の暮らしや周囲の人々のことを慈しみたい気持ちにさせられる。
子どもマジック。
とりわけ演出がすごくて、演技と自然な振る舞いとの区別がつかない。愛らしいシーンがたくさん。クレープを作っているだけで、互いの名前を呼び合っているだけで、なぜ泣けてくるのだろう。。
セリーヌ・シアマ作品のなかでも最も非現実的な設定を用いつつ、最も普遍的かつ強度のある(人をインスパイアする)作品になっていると思う。傑作。