みむさん

Natural Light(英題)のみむさんのレビュー・感想・評価

Natural Light(英題)(2021年製作の映画)
3.5
BFIロンドン映画祭にて。

ベルリンで監督賞をとっている作品だった。
元々ドキュメンタリー方面の監督で今作が初フィクション、出演者はほとんどノンプロらしい。

第二次大戦、占領下のソビエトの森をパトロールし、パルチザンを監視するハンガリー兵たち。(ハンガリーはドイツ支援枢軸国側)
鑑賞後に知ったのだけど、20年間を描く原作の中から数日間のみ切り取ったみたい。

戦争映画ではあるけれどドンパチするわけではなく、占領する側の視点で描かれる占領地、結構な圧力や残酷な仕打ち。それを指揮せざるを得ない一人のハンガリー兵指揮官の視点で描く。

説明を削ぎ落とし台詞は少な目、一人の兵の悲劇を静かに追う。それが戦争で疲弊した兵士の雰囲気を余計に醸し出す。
主人公セメトカの場合は立場的にも中間管理職に近い。

不条理な戦争、空虚な任務に駆り出された兵たち。粛々と任務をこなし、それ以上でもそれ以下でもない。それでも最低限の人間らしさをなんとか持ち続けたい主人公セメトカが生きるために非人道的な事に関わらざるを得ない苦悩を描いてるようだった。