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アンラッキー・セックス またはイカれたポルノのらのレビュー・感想・評価

3.7
今年日本公開されていて今年観た映画の中では『TITANE/チタン』が最も奇妙な映画だと思っていたが、こちらもまた違った方向性で負けず劣らず変な映画。観る人をおちょくったような〈自己検閲版〉の修正(監督としては不本意な検閲ながら、それ自体を作品にしてしまおうという強い意志を感じる)に、人を食ったようなマルチエンディング。全編にわたって挑発的だが、だからこそ真面目な映画であるという印象を同時に受ける。

街中や人々の間に溢れる卑猥をあぶり出して、「何が本当に卑猥なのか」を問う。3部構成のうちの第3部の校内裁判のシーンは、めちゃくちゃ今の大衆と世論のあり方っぽくて観ていて地獄のように辛いけれど、めちゃくちゃ面白い。個人的には、ルーマニアの社会や歴史についてもう少し明るければ更に楽しめたはずだと思う。
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