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ボーはおそれているのSQURのレビュー・感想・評価

ボーはおそれている(2023年製作の映画)
4.0
こういう感じ。
まさにこういう感じ。
ほとんど意味がわかんないまま、なんか世界とか周りの人たちは勝手に進行していく。
どうも私だけ知らされていない世界の法則があるらしいけど、どんなに理解しようと努めてもその極々一端しか理解できない。
理解できた僅かなルールにすがって見よう見まねで動いてみるけどどんどん惨めになっていって、挙句よく分からないまま攻撃され、よく分からないまま批判される。

私の生きてきた世界がすごくリアルに再現されていて驚いた。
あまりに世界が意味不明なので他にすべもなく全裸で飛び出して(それが惨めで滑稽だとは流石に分かるのだが)助けを求めた警察から拳銃を向けられるような体験を日々してきたし、ある日いきなり自分を捌くためだけの法廷が開かれ過去の(自分にとっては)些細な罪が問い詰められ、弁護の意見は何一つ聞き入れられず、衆目のもと晒し者にされ説明なくジャッジされながら生きてきた。



家から脱走するくだりあたりまでの映画表現は特にキレッキレで、ほぼ同一のカットで時間だけが経過していたり、環境音の使い方も新鮮で、眺めてるだけで気持ちよくて最高だった。
えーこの世界ってどういう法則のもと成り立ってんですか?どういうリアルなんですか?って全く理解できないけど、実際そう映されている以上そういう世界なのだと納得せざるを得ない感じが、映画というメディアのマジックだと思うし、この映画のテーマでもあるんだな、と思う。
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