塔の上のカバンツェル

ボーはおそれているの塔の上のカバンツェルのネタバレレビュー・内容・結末

ボーはおそれている(2023年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

途中からコレってコメディ?って理解して笑い始めたら、ボーが発達障害を示唆されてたり、笑ったらいけなかった…と居心地が悪くなる後味。
しかも作り手も自覚的なので、結構意地悪。

一緒に行った友達の受け売りだけど、"本人にとっての恐怖ならそれはホラー映画"の言は、この映画には成程、当て嵌まってるなぁと。
観客や周囲の人間には滑稽なコメディにすら思えても、劇中のキャラ…当事者には至って深刻でホラーなのであると。

「トゥルーマン・ショー」的な構図か?とも思ったけど、前作が作品内に観客というキャラを配置しているので映画内で完結している一方で、本作は我々観客をより引き込んでバツの悪い想いをさせる…。
最後のイルカショー的な劇場はそういう構図と理解した。

映画館で隣のカップル可哀想だったなぁ…。
とてもこの映画のあと良い雰囲気にはなりようがないもんなぁ…。
もし母親と息子で来ているお客さんだったら、より地獄すぎる。

本作はIMAXで観なくて本当によかった。
あの気まずすぎるベッドシーンが大画面に映ってるの最高に気まずい。

あんまり監督への解像度は高くないけど、顔面がない死体とか、屋根裏部屋とか、母親への恐怖とか、自分のトラウマを今回もまた内省してて、気まずい崩壊気味の家庭を映すのがライフワークなんかなぁ…。

友達は全編自分ごとにブッササってたみたいだけど、個人的にも気まずい家庭内の食卓とか、親が口論してたあの夕飯を思い出してちょっと落ち込むんだよなぁ。

観た後、脳みそが多分フルで使わされたっぽくて、頭痛にはなった。

真っ裸のホアキンフェニックスとか笑って良いのか…?みたいなギャグシーンがてんこ盛りなので、これは声に出して結局笑ってよかったんでしょうか。
ブラックユーモアっていうより、昭和の現代なら不謹慎な無神経な笑いを誘うテイストに寄ってる気がする。だから気まずい。
作り手も意図してるし。

「ナポレオン」に続き、セックスにトラウマしかない男、ホアキン。

男が風呂の天井でプルプルしてるのは流石に1番笑った。

他にもTVのワイプで全裸の男のチ⚫︎チンが隠れているか…?いや、隠せてない。な、ギャグとか、大怪獣ペニスお父さんとか、ミッドサマー的なまたカルトコミューンに同化する話か?みたいなミスリードされてたらランボーが乱入とか、
やっぱりなんだコレみたいな笑っちゃうシーンはそこかしこにある。

戦死した息子のパズルのシーンは絶句した。

うっかりパンドラの箱が開いて、家庭の緊張状態が暴かれる可能性や、肉欲への嫌悪とか、滑稽と笑うその自分とか、なんか諸々気まずい映画。

是非に恋人や親御さん、親しい人と観に行ってください。
関係が試される。


アリアスターの次回作、コロナが流行ってる最中の炭鉱町とか、もう不穏な題材で結構楽しみ。
…楽しみ…?