ボーはおそれているのこしょうのネタバレレビュー・内容・結末

なんだったのか、と言われても分からないので、不条理コメディとして鑑賞
過去の罪悪感なのか、母親に聞かされた父親の死因なのか、母親の強すぎる愛情なのか、とにかくボーは何かに怯えている。そんなボーに不条理に酷いことが起き、気絶する度に場面がかわり、また酷いことが起きる。
そんな繰り返しで、二幕目まではボーに色々と酷いことが起きて結構ゲラゲラと笑えたが、三幕目はおとなしめ。
そして四幕目では母親から聞かされた父親の死因は嘘であって、心配していた遺伝も杞憂だったことが分かりボーはこの映画で初めて喜びを感じるものの、次の瞬間に起きた酷いことにまたしてもショックを受ける。観ていたこちらも呆気に取られ、そこからの展開でさらに頭が混乱してしまう。父親の姿は、医者の家で睾丸肥大を指摘されていたことをこういう形で活かすのか！という思いで笑ったけれど。
最後はまるでボーの脳内自己裁判であり、諦めたような、もう怯えなくてすむことに安堵したような顔で死んでしまう。ボートのひっくり返る勢いにも笑う。

冒頭の製作会社のロゴに混ざってMWのロゴが出てくるが、これはボーの母親の会社のロゴである。つまりはこの映画は母親の作品であって、我々も最後の裁判における観客と同じなのだ、と思わされる。母親の家に飾られた写真には会社のPR写真に使われる幼いボーが写っているし、ボーの住むアパートは母親の会社が建てた物のようだ。この旅行にも母親の企みで出ることになっている。ボーは常に母親にコントロールされていた。だから途中の演劇であったように自分の家庭を持ってみたかったのかもしれない。しかし、母親を殺すこともできず、最後まで母親から解放されなかった。およよ。